…………太陽にも反省するところがあると思う。私が撮るときに晴れてほしい。もう少し光量がほしいな──────────
何をやってもどこへ行っても思うようなカットが撮れず、負けが込んでいる状態が続いており、どこかでいつもと違うことをして悪い流れを切りたいと思っていた。
この暑い夏、外出はするけど炎天下に出ることなくなにかそれっぽいアクティビティがほしい。今月来月はWE LOVE DENSYAシリーズと称して己の奮起を促しているところ。
学生時代は長らく定期券で東武線を利用していたこともあり、東武ポイントとやらが思いの外貯まっていたのである。そうとなったらこの機会に久しぶりに東武特急に乗りにいってみよう。己の日頃の行いの恩恵にあずかるときが来た。
列車に乗ること自体も好きなのだが、ここ最近は特急列車のグリーン車などに手を出すことも覚え、例えば札幌〜函館の特急北斗のグリーン席課金にはかなりの費用対効果を感じていた。
思い立ったら即行動、ちょうど帰省していたタイミングであったため諸々を駆使して話題の新型特急のラウンジ席と100系スペーシアのコンパートメント席を「ご用意」した。
関東平野はカンカン照りの日が長く続くけど、どんなに晴れてても撮りに出れる時間になればいつも決まって夕立ゴロゴロだ。
真っ昼間のほぼ真上から照りつけてくる、ただただ暑いだけの役立たずな太陽。この日は冷房をガンガン効かせた電車の中からあっかんべーしながら特急列車の始発駅、浅草へと向かった。
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〜スペーシアTwitter(Xと言ったら負け)〜
「スペーシアX」と呼ばれる、東武鉄道の話題の新型特急……と言いながらももう2周年とのこと。在来型のスペーシアよりも乗ることそのものをアクティビティにしようという方向性が感じられる。
いくつか席種がある中で、今回はコックピットラウンジをチョイス。こちらは1人用、1〜2人用、2〜4人用とある。運良く1人用だけが空いていた。
上にある写真の通り今回はビックリなことになんと運転席真後ろのかぶり付き席、通称オタ席と言われるようなものすごい席に当たったのだ。
たまたま一人用だけ空いており取れた席。夏休みシーズンでお客さんが多い中、ソロ活動(要出典)の強みが表れた。
思いがけないラッキーには心も弾むもので、ついうっかり多めにモバイルPASMOにチャージし、足取り軽やかに車内のカフェスタンドに向かう。弊ページは風土記を名乗っているので購入したドリンクを。
・越谷水辺エール
限定もののクラフトビール。他にも数種類のビールがラインナップされていた。車内で飲むというだけあってフタ付きで提供されるのが嬉しい。
・ニッコーラ
スパイスが効いたクラフトコーラ。淡麗さと少しのスパイシーさがこの季節にピッタリだ。
・ニッコリーノ
ニッコーラの姉妹品、梨ベースの炭酸ドリンク。こちらもほのかにスパイシーさがあった。お酒類だけでなくソフトドリンクも選択肢があるのもアピールポイントだろう。
オタ席で過ごす1時間40分はあっという間である。初めて乗る列車に浮足立つあまり列車の外観を撮り忘れたが、また乗りに行けば良いのだ。気づけば下今市の機関車たちが目に入り、ほどなくして終着の東武日光に到着した。
復路は在来型のスペーシアに乗るため少々東武日光で待ち合わせ時間がある。
しかし到着時刻が中途半端だったゆえ、開いているお店も無く。幸いなことに外を歩いていても平気でいられる気温であったので、アテもなくぶらぶらと時間を潰す。
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「乗っても撮ってもVなヤツ」
オーバーツーリズムの悲鳴が各所で上がっている昨今、空間への課金という概念がよく活きるもの。
せっかく個室席に乗ったんだからもう少し乗っていたい、特急と書くものの「"特"に"急"いだりはしない」ということにならないだろうか。
しかし不思議なものでこの四人がけの正真正銘の"ボックス"のシート、どこに座っても良いというのに、身体は無意識のうちに進行方向に倣って座っていたのである。
前々から気になっていた個室席、入り口にはグリーン車の四つ葉マークが貼られていた。
100系スペーシアはJR線にも乗り入れ、個室席はグリーン車として扱われるためマークがついたのだろう。
りょうもうでも同じ景色であったが、進行方向右手側に日が沈んで行く地形であるため、夕焼け空をずっと眺めながら浅草へ向かい、日が沈んだ頃に越谷を過ぎて複々線区間へ入っていく。
座席にリクライニング機能は無いものの、足を組んでも伸ばしてもふんぞり返っても自由である。
照明も多少の調節が効き、バブリーな内装も私の好みによく刺さるものであった。
高頻度で利用するのは難しいけど、例えば野球場の撮影地として使えそうな場所の席の金額を見るとこういう選択肢も浮かぶもの。
この日乗った編成は金色のものだったが、乗るぶんにはどんな塗装であっても気にすることが無いので楽である。
写真の枚数も100系スペーシアのほうが圧倒的に多いのはこっちに気が向いていたところの表れである……。
………座る向きを変えられないとこんなカットも意外と撮れない………
さて、これで気分も切り換わったかい。この日も夕方から一気に曇ってただろう。
乗っても撮ってもVなやつはそうそういない。
次回以降の"勝利"へ向けてもう一度動き出す。