写真作品

良い子は帰る時間です。

東武伊勢崎線・800型
※画面を明るくしてご覧ください※

雪が無くとも底冷えする寒さ、さながら関東地方は根雪前の北海道の悪質な感覚が冬シーズンの間ずっと続いているようなものである。
しかしそのぶん冬の寒空はえらく空気が澄んでいるもので、束の間の夕焼けタイムが終わったのに、心の中のバカ・オタクが「星が見えるからもうちょい撮ってこうぜ」とか言うのである。
何を言っているんだ、まだ撮るつもりなのか。ほら夕焼けチャイムが聞こえるよ、良い子は帰る時間だろう。

これがもう一時間待たなければ上りも下りも来ないというのであれば当然却下である。しかし心の中のバカ・オタクと対話をブツクサ重ねているうちに次の列車まであと10分ぐらいときた。
普段良い子にしてるんだからもう10分くらいオマケしてくれよと言わんばかりに、北関東のからっ風に立ち向かう。

立ち位置のすぐ近くに信号機がある。黄色2灯、制限25キロを示していた。
交換待ちをするために予め速度をしっかりと落として入線する800型、プシューーとブレーキの音が聞こえると、強い風に乗せられたのか、ブレーキレジンの匂いも一緒に漂ってきた。視覚聴覚嗅覚、たくさんの感覚で東武線らしさを感じた。