なんと言っても、マッコウクジラといえばもともとは営団地下鉄日比谷線(現東京メトロ)の車。やはり人にも車両にも"適材適所"というものがあり、マッコウクジラは長野〜善光寺下の地下区間がサイコーに似合っていた。
また、この区間の駅は見てくれもとても古くて構内は全体的に薄暗く、うーーっすらクラシック音楽がBGMとして流れているところが不気味さを助長させていてとても好きだった。
今行くと撮影者が誰かしら立っていると思うが、私が通っていた頃は誰にも注目されていなかった頃、不気味なホームで1人ポツンと黄昏れているという時間が当たり前だった。
写真には写っていませんが、駅の壁面の広告スペースには志賀高原の高山植物の写真が掲げられていて、その広告のフォントも、細長い文字に斜体……という、ものすごい""平成初期""みたいな、ね。スキーブームの頃から取り替えられていないのかな。
私もこう見えてギリギリ90年代の生まれなので、やはりどこかそういう雰囲気を本能的に察知するのか、この不気味な空間にはいろんなものがタイムカプセル的に閉じ込められているような気がしてすごく好きでした。