100万ドルの夜景という言葉があるが、価値がつかないほど低迷している貨幣にも満たない陰湿な雲に阻まれたため、晴れカットまで叶えることは出来なかった。
中途半端な展開ばかりで素直に喜べない撮れ高、撮った場所すべて切り位置に差しかかるちょい手前、または周囲の自動車の流れが途切れたタイミングを狙ったかのように全て曇り、あれだけ晴れていたのに晴れカットを1枚も手にすることができなかった。
冬場の北海道なんて晴れないものと言われればそれまでだが、しかしせっかく昼間の函館ササラという低確率に低確率を重ねたようなシチュエーション、しかも移動中は一面青空で暑いぐらいであったのである。そこまでやるのならちゃんと最後まで晴れろやと思うもの。
増して日中に函館のササラを撮るのは、函館を物色するようになってから6〜7年経つという中で初めてのことであった。そうなるとやはり一発で満点回答が欲しいと思うのが世の常であることに疑いの余地は無い。
しかし都合よく勝ってばかりという展開というのも、見る側からしたら気に入らないもの。
撮り鉄は筋書きの無いドラマである。次の機会が一体いつになるかも未知数であるが、そのための演出とでも思っておいてあげよう。今日のところはこのぐらいで勘弁してやると吐き捨てて帰路についた。
とはいえ市電が走る街の魅力度は青天井である。晴れカットが叶っていたとしても、どうせまた何か理由をつけて撮りに行っていることには違いない。